WINTER SPRING 23
シンプルさの中の複雑さ、手を加えられていない純粋さと荒々しい優美さの中に見出される洗練。
ALAÏAのWinter-Spring 2023コレクションでは、クリエイティブディレクターのピーター・ミュリエが、メゾンの心髄に内在する矛盾、つまり制御と解放の間の緊張を観察し、それを称賛しています。2022年
7月パリで開催されたコレクションは、過去と未来が同時に共鳴する、ある場所で発表されました。その場所は神秘的なパリの住所、フォーブル・サントノレ通り15番地であり、Maison ALAÏAは2024年、この地に新たな施設をオープンする予定です。
ALAÏAはパラドックスのうえに築かれたメゾンです。幾何学的なフォームのシンプルさは複雑さを生み、直線的なカッティングと、そぎ落とされた簡素な構造を用いることにより、女性の身のこなしにあわせてフィットしやすい衣服が生み出されてます。ポルカドット柄のディテールは、バロックパールの刺繡で表現されたライトモチーフであり、まるで身体の地形をなぞるような光の点のようです。
Winter-Spring 2023コレクションでは、ALAÏAらしいイコノグラフィーが称賛され、探求されています。
レギンス、ドレープスカート、クールクロワゼのトップスなどのストレッチジャージーのアイテムは、本質を見極め、セカンドスキン(第二の肌)として機能するように精密に再構築されています。肌からレザーに繋がるように、ムートンは裏地なしの生成り色の生地でアウターウェアやセパレートウェアに使用され、身体に直接触れる自然な素材の動きと洗練されたデザインが融合しています。クロコダイルは、だまし絵のように立体的なジャカードにおとしこまれ、シュニール織は本物の毛皮のように見えます。
テーラリングの厳格さと並行して、体の周りを動く布のゆったりとした自由さという、オートクチュールのルーツである二つの相反する原理が、一つの衣服の中で融合しています。生地にはドレープやノットディテールが施され、シームやシンプルなドローストリングによってギャザーがあしらわれています。
ALAÏAらしい手法で、衣服の内側、つまり本質的な構造、クリエイションとプロセスの境界線が新たな装飾の形となります。ルールや制限に挑戦するため、デニムの「裏側」を使うことでコントラストを表現しています。メタルで繋がれた檻のようなレザーのフレットワークは、それを着用する女性を見るための窓が開いているようです。ルールや慣習に挑戦し、あえてデニムの「裏側」を使って身体の周りでねじれるようなデザインを用いた作品に仕上げています。
ジュエリーは、衣服の下に身に着けたり、衣服の表面との融合や、テーラードの袖にメタルの腕輪をはめ込んだり、靴に組み込んだりして、ブルータリズムの要素を表現しています。装飾は、刺繍の概念を覆すものです。スパンコールは革から切り出され、エキゾチックレザーを模すように組み立てられ、鏡面仕上げのスパンコールはビジューを思わせ、ダイナミクスに変化を与えながら生地と身体の間の関係性に影響を及ぼします。
メゾンと創業者のアズディン・アライアが織りなすALAÏAの歴史は、衣服とアクセサリーに織り込まれた糸を紡ぎます。それこそがALAÏAの本質、本質的なメゾンの姿なのです。コレクションで発表したオマージュも同様です。1991年にフランスの靴職人レイモン・マサロがアズディン・アライアのために作ったヒールは、女性の脚に見立てられましたが、ピーター・ミュリエによる新たなMaison Alaïaのクリエイションに直接的なインスピレーションを与えています。現代に生まれ変わったこのヒールは、ALAÏAのヘリテージ、つまり常に生き続けるインスピレーションであり、変わることのないインスピレーションなのです。