WINTER SPRING 2024
時間を与えること、時間を奪うこと、時間を減らすこと、時間を超越すること。
伸縮性のある時間の概念は、アライアというメゾンにとって常に特別な意味を持っています。その概念は慣習や制約を排除し、可能性を受け入れることを意味します。アライアのWinter-Spring 2024コレクションで、ピーター・ミュリエは時間を抽象的な概念ではなく物質的な概念として探求しました。
時間を作ること。
クリエイション、クラフト、ファッションという概念は、その動詞形の語源であるラテン語の”facere”(する、作る)まで遡ることができます。これらの概念をさらに拡張すると、人間の姿そのものがファッションの対象となり、衣服の作用によって操作や変形が可能となります。身体のラインを強調するためにデザインされたボムシェルシルエットは、過去の記憶を背負いながらも未来を提案します。それは時間に関係なく、常に力強さを演出するのです。
衣服の縫い目は、単に身体のフォルムを表すだけでなく、その服の一生を辿るものであり、その進化と洗練されたプロセスを示す年表のような存在です。それらはデザインのアーカイブと呼応し、異なる時間や人生がここで再考され、その価値のある貴重な時間は大切に扱われています。
ボタンは驚くほどに時間やプロセスを象徴しています。それは服装の慣習や衣服の留め具であり、時間の変化と再構築を表しています。ボタンを外すことで未来の可能性が約束されるのです。
時間は現代の象徴であり、フェティッシュとも言えます。ウールフランネル、オーストリッチ、コットンリネン、トランスペアレントニット、ラッカーニット、レザー、ラテックスなどの生地は、触感や官能性を反映しています。それらはまるで別の存在のように振る舞ったり、じっくりと観察する時間を要したりします。
メゾン・アライアの原点と現在を結ぶ架け橋の上では、永遠に動き続ける人影が交差し、その行進は、時を刻み続ける永遠の人間の人生を背負って逆らい、それは時間の音であると同時に生命のリズムでもあるのです。