WINTER SPRING 25
このWinter-Spring 2025コレクションをニューヨークで発表することになった背景には2つの理由があります。ソロモン・R・グッゲンハイム美術館でショーを行うという素晴らしい機会と、アメリカン ビューティーという概念に対する情熱です。
私にとってアメリカン ビューティーとは、身体と精神の自由を意味します。シンプルさ、モダニティ、率直さ、純粋さ。そしてアライアにとっても私自身にとっても、アメリカは第二の故郷なのです。私はニューヨークに3年間住み、仕事をしました。それは今の私を形成する大きな要因となりました。そして1980年代、アズディン・アライアにとってニューヨークは、彼の服やデザイン哲学が受け入れられた街であり、彼が最初のブティックを開いた場所でもあります。1982年、彼は初めてニューヨークでショーを行い、2000年にはソーホーにあるグッゲンハイム美術館の仮設スペースで、アライアの作品がアンディ・ウォーホルの作品と対談するという、前代未聞のアートとファッションの交流を実現させました。
今シーズン、私たちはソロモン・R・グッゲンハイム美術館でショーを行うという機会を得ました。これは同じ志を持つ仲間たちからの寛大な申し出であり、彼らとのクリエイティブな交流と言えるでしょう。ファッションショーが同美術館のロタンダで開催されるのは初めてのことです。
今回はコレクションそのものが、アメリカの美術館でショーを行うというアイデアに基づいて本質的に形作られています。そこには、快適さと実用性を兼ね備えたアメリカン・スポーツウェアの雰囲気があり、Adrian(エイドリアン)、Halston(ホルストン)、Charles James(チャールズ・ジェームズ)、Claire McCardell(クレア・マッカーデル)といったアメリカファッション界の巨匠たちの功績の軌跡があります。それはつまりアメリカン ビューティーであり、そこにはアズディンと私自身のこだわりから生まれた彫刻的な一面もあります。
幾何学的なフォルムが、円形や四角形、螺旋状の布として昇華され、ダブルフェイスのカシミアや上質なニット、彫刻のようなポプリン、シルクタフタが身体を包み込みます。ファスナーもボタンもない、削ぎ落とされたダイナミックなシンプリシティ。いくつかのルックは、外からは見えない内側の構造によって、まるで手品で宙に浮いているかのようです。
デニム、Tシャツ、スポーツウェアなど、アメリカ固有のスタイルをクチュールとして研究し、洋服に落とし込みました。また、私たちの研究と並行して、ファッション工科大学(FIT)、パーソンズ美術大学、プラット・インスティテュートの3つのアメリカのファッション・スクールの学生をショーに招待し、私たちの作品を見てもらいました。
このコレクションは、 モダンでありながらも伝統に敬意を表しています。アメリカ的な装いへのイデオロギー、そしてそれを通してニューヨークとパリをひとつにするエスプリ、つまり解放された躍動する身体への賛美なのです。アライアがこれまでもそうであったように。
愛をこめて
ピーター・ミュリエ